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作曲家別交響曲ランキング

クラシック音楽の交響曲を作曲家別にランキング.
聴く曲を選ぶご参考にしてみてください.

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音符 オネゲル交響曲ランキング 音符


オネゲルの交響曲5曲からベスト4です。

オネゲルは、「パシフィック231」や「夏の牧歌」などの交響詩でも知られているフランス近代の作曲家です。作曲家でも世間から隔絶するわけにはいかない時代、第二次世界大戦の影響は音楽にも表れました。厳しく叫ぶような不協和音や不規則なリズムも、現代に生きる我々皆が抱えている”精神的・肉体的なきしみ”と思えば理解できるところがあるのではないでしょうか。彼の好んだ形式は”アーチ形式”と呼ばれるもので、ソナタ形式に準じてはいますが、第1テーマと第2テーマが再現部では逆の順番で再現される特徴があります。これを知っておけば曲を理解しやすくなるでしょう。また、急・緩・急の3楽章構成であることも特徴です。


以下、ランキング順に各曲の簡単な説明とおすすめCDのご紹介をしていきます。


音符第2番 「弦楽のための」音符

一位は交響曲第2番「弦楽のための」です。ちょっと渋めで重めではありますが、戦争(第二次大戦)の悲劇・不安を訴えかける曲です。

交響曲とはいうものの、弦楽合奏のために書かれており、最後の最後にトランペットが加わるという地味な楽器編成であります。そのトランペットも「オプション」であり、あってもなくてもよい、ということなので、いかにも戦時下らしい必要最小限な編成ですが、それだからこそオネゲルが訴えかけたかった戦争の哀しみ、苦しみ、愚かしさを凝縮したような緊張感のある曲となっています。

曲は3つの楽章からできています。第1楽章はまさに「陰鬱」な雰囲気の中で開始されます。やがてビオラで奏される楽章全体で執拗に繰り返されるフレーズは、まさにねちっこく付きまとう戦争の影を描いているようです。
 第2楽章はひきずるような伴奏に導かれてチェロで奏でられるエレジーです。だんだんと盛り上がってついに達するクライマックスは、まさに全楽器の絶叫のようで耳をふさぎたくなるような絶望にあふれています。
 そして最後の第3楽章。リズム的にもハーモニー的にも緊張に満ちたフィナーレの最後に、全てを救って解放するようなトランペットの朗々たる凱歌が響くとき、どんな絶望的な状況であっても人類の未来を信じようとするオネゲルの強い意志に胸が熱くなるのです。

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音符第3番 「典礼風」音符

「典礼風」というのは、宗教的な意味合いを持たせるためにオネゲルが名付けたものです。しかし聖歌などの引用はなく抽象的なイメージです。相変わらず緊張度が高い曲ですが、最後の部分での安堵感が全てを救ってくれます。

次に示すのはオネゲルがインタビューに答えたものですが、この言葉でこの曲の本質がわかるでしょう。「私がこの曲に表そうとしたのは、もう何年も私たちを取り囲んでいる蛮行、愚行、苦悩、機械化、官僚主義の潮流を前にした現代人の反応なのです。周囲の盲目的な力にさらされる人間の孤独と彼を訪れる幸福感、平和への愛、宗教的な安堵感との間の戦いを、音楽によって表そうとしたのです。私の交響曲は言わば、3人の登場人物を持つ1篇の劇なのです。その3人とは、「不幸」、「幸福」、そして「人間」です。これは永遠の命題で、私はそれをもう一度繰り返したに過ぎません。」

第1楽章「怒りの日」。混乱した怒りの元となる感情の揺さぶりのような序奏に導かれて金管楽器の叫ぶようなリズムとなり、そこに非情な感じの第1テーマが奏されます。各楽器に受け渡されながら提示される第2テーマは恐れおののく人間の悔悟のような印象。ますます神の怒りはおさまらず心を苛みます。そして救いのないままに寂しく途切れるように曲を終わります。
 第2楽章「深き淵より」。神に見捨てられた人々の苦悶と瞑想を表現した、この交響曲の中の白眉。自分を慈しむような旋律が無限に紡がれていくさまは感動的です。ときおり天空で鳥が歌うようなフレーズも将来を予感させます。
 第3楽章「我らに平和を」。地獄堕ちの人々が追い立てられていくような重苦しい歩みの音楽から始まります。毅然としたホルンの旋律が強い意志をみせようとしますが何度も遮られます。それらが展開されてオーケストラ全部の不協和音で頂点を迎えると、突然速度が緩み曲が穏やかになって終結部に入ります。いわゆる神の救いによって人間が浄化されたことの表現であるのでしょう。空では鳥のさえずりが聴こえます。その平穏のままに全曲を終了します。

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音符第4番 「バーゼルの喜び」音符

オネゲルの交響曲の中でも、一番明るさに満ちた曲であり、現代音楽の中でのオアシスのような印象を受けます。バーゼル室内管の創立20周年記念で依頼されスイスのバーゼルで初演されました。オネゲルの両親はスイス生まれであり縁も深かったようです。

彼が納得できなかったことも理解できるような気がします。全体に大雑把で雑な印象を受けます。宗教的な意味合いをコラールや賛美歌を取り入れた分、彼の繊細さという特長が失われているようです。

第1楽章は、ゆっくりした序奏で交響曲の雰囲気を形作ります。全体的に多調性ですがメロディーがわかりやすい。やがて主部に入りますがこの時の満ち足りたような喜びの第1テーマは印象的です。これが自由に展開されるとおどけたような第2テーマがオーボエとクラリネットでリズミカルに登場します。その他にも魅力的なフレーズが登場して時々複雑な和音の打音はありますが総じて爽快です。展開部・再現部を経て速度が緩み、再び序奏が戻ってきて、また速度を戻して主部のテーマを回想しながら静かに終わります。
 第2楽章は、低音部で同じ主題を繰り返しつつ高音部で装飾していくパッサカリアという変奏曲形式。音の跳躍がある特徴的なテーマが提示されて変奏されてゆきます。響きは現代的ですがあくまで形式を崩すことなく進行します。途中の鳥の鳴き声のような細かな動きが面白い。
 第3楽章は、アレグロのフィナーレです。少しずつネタ見せしていくような序奏を経て、トランペットでリズムと音の跳躍に特徴のあるテーマを提示します。他にもこれまでの楽章のテーマに似たフレーズや、跳び跳ねるような楽しいフレーズなども各種織り交ぜながら進行します。途中アダージョの部分を何度か挟むのですが、提示したテーマを対位法的に結合させながら盛り上がったところで、打楽器を加えて付点リズムで喜びを爆発させるようなバーゼル地方の民謡「謝肉祭の幕開けの歌」が登場してクライマックスに達します。アダージョが戻ってからまたアレグロになり終結部。跳びはねるフレーズが再び表れて静かに唐突に曲を閉じます。この辺はオネゲルのユーモアでしょう。

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音符第5番 「3つのレ」音符

全ての楽章の終了音が「3つのレ」であることがニックネームの由来です。急・緩・急であるオネゲルの楽章構成の定式ではなく、緩・急・急となっているのが風変わりです。

彼の最後の交響曲でありますが、なんとも音楽が重苦しく聴き終わっても引きずりそうなくらいです。そのため残念ながらランキングのこの位置になってしまいました。

第1楽章は、全奏で響き的に複雑しかも重々しい第1テーマから始まります。それが鈍重に歩を進めてゆくとファゴットの付点リズムの下降をきっかけに低音から湧き上がる流麗な第2テーマが奏されます。やがてトランペットの警告的なファンファーレが低音から始まり次第に音高を上げて行きます。その間に音楽の緊張度は増し、ついにはトランペットのファンファーレと第1テーマのフレーズが組み合わさって悲劇的なクライマックスに達します。それから弱奏で第1テーマが再現されます。第2テーマは現れないまま終結部となり、各テーマが回想されつつ弱い「3つのレ」で終わります。
 第2楽章は、中庸なテンポのスケルツォです。2つのモチーフが対位法的に組み合わされたちょっとたどたどしい第1テーマと、レガートで流れるような第2テーマで主部は形作られています。中間部は重々しい歩みのフレーズが支配します。各テーマは転回されたり引き伸ばされたり複雑に変形して展開されます。主部が戻り、また中間部が戻って、最後に主部がもう一回戻って、コントラバスの「3つのレ」で終わります。
 第3楽章は、最後の最後まではアグレッシブなフィナーレです。華々しくも激しいトランペットのリズムに、粘着質な弦楽器が絡んできます。カチッとしたリズムがずっと付き添います。ここからはオネゲルの終楽章に特徴的な多くのフレーズの提示とそれらの組み合わせにより曲を展開していきます。リズム的な緊張が目立ちます。途中ホルンにより突然従来の調性音楽的なコラール風の旋律が奏されて新鮮な感じになります。また喧騒の世界に入っていきこのままクライマックスで終わるかとおもいきや、最後は「あれっ!?」という感じで拍子抜けするように勢いを弱めていき、竜頭蛇尾のごとく静かに「3つのレ」で全曲を閉じます。どこか後味が悪いです。

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現代曲というと敬遠されている方もいらっしゃるかもしれませんが、オネゲルは曲のわかりやすさや情感的な豊かさがあって、比較的とっつきやすいと思います。私もクラシック音楽を聴き始めて年も浅いうち(高校生だったと思います)に虜になりました。
 ところで、ご紹介していない第1番も明晰でアイデアに満ちた面白い曲です。もしオネゲルが気に入った方はぜひご一聴を。