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作曲家別交響曲ランキング

クラシック音楽の交響曲を作曲家別にランキング.
聴く曲を選ぶご参考にしてみてください.

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音符 ショスタコーヴィチ交響曲ランキング 音符


ショスタコーヴィチの交響曲全15曲中からベスト5です。

第1番からソビエト連邦国内はもちろんのこと世界の注目を浴び、20世紀の交響曲の分野では重要な位置にいる作曲家です。ただし、ソ連が音楽にも統制を加えていたために、彼の才能を自由に開花させる環境にあったかどうかは評価が難しいところです。第7番「レニングラード」から第12番「1917年」までの、ロシア革命や戦勝をアピールするような作品群は聴く者に複雑な思いにさせるものがあります。

そういった負の意味のある作品も考慮に入れつつ、このランキングとしました。


以下、ランキング順に各曲の簡単な説明とおすすめCDのご紹介をしていきます。


音符第5番 ニ短調 「革命」音符

旧ソ連の作曲家、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ」の15曲の交響曲の中でも最も有名かつ他の作曲家の交響曲と並べても名作の第5番。「革命」と呼ばれるときもありますが、これは宣伝文句のようなもので作曲家自身が名付けたものではありません。

ソ連時代は共産党の思想が芸術の世界でも強制され、若くして才能を世界に知られたショスタコーヴィチも例外ではなく、作品を何度となく糾弾を受け、かなり厳しい状況に追い込まれました。それに対する彼なりの回答がこの交響曲第5番であったのですが、現代曲としては比較的わかりやすく、闘争を経て勝利に至るような構成の曲は、当局には好ましく受け入れられて名誉回復に繋がったようです。
 もちろん、彼が当局に喜ばれるようとだけ思ってこの曲を創作したとは到底考えられません。むしろ自分がそんな状況の中でもがき苦しみながら乗り越えようという意志を音楽化することで自分自身の救いにしようという純粋な気持ちが、誰の心をも揺さぶる曲として結実したのだと思うのです。

曲は、第1楽章の心を締めつけるような悲壮なカノンによる主題で始まります。数々のテーマが展開部でついに寄せ集まって盛り上がり、大行進曲になる様は壮絶です。第2楽章のユーモラスなスケルツォの後で、静けさの中に強い意志を心の底に秘めたような第3楽章が続き、まるで全ての苦難に対する勝利を謳い上げるような第4楽章は誰の心にも希望を与えるでしょう。最後を飾る、勝ち誇ったようなファンファーレは感動ものです。

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音符第6番 ロ短調音符

英雄叙事詩的な第5番「革命」の後で、今度は普遍的な人間の生き様を描いたようなこの第6番。
 第1楽章のまじめさに比して、後の2つの楽章が快活なのは、ショスタコーヴィチに何かの意図があってのものだという意見もありますが、悩み抜いてそこから解き放たれていく人間の姿を音楽化していると思えばあまり勘ぐらないほうがいいのかもしれません。いずれにしろ戦争(第二次大戦)や国家統制(当時のソ連)がある状況は芸術家にも多大な影響は及ぼしたはずではありますが。

この曲はとにかく終楽章が無条件で楽しく、それだけでランキングがここまで上がったところがあります。

第1楽章は、緩徐楽章。低音弦による伸び上がっていこうとする意志を示す印象のテーマと、それを嘲笑するようなトレモロが特徴のフレーズが主材料になっています。「ラ・ラ・ド・ラ」という諦めを表すようなモチーフも効果的に使われています。楽章全体の雰囲気的には第5番の第1楽章と第3楽章をあわせもった深い苦悩のようなものが感じられます。最後は諦めのモチーフによるコーダで静かに消えていきます。
 第2楽章は、スケルツォ。打って変わって活動的な滑稽味のある楽章。弦のピチカートにのってクラリネットで主奏される音階的なテーマが中心。上昇的で旋律的なフレーズもハナグスリとして効いていますが8分音符の刻みが雰囲気を支配しています。トリオは、息が長いが後半引っかるような面白いテーマが活躍します。ティンパニのリズムだけが残されると始まるスケルツォの再現では、音階的なテーマが反転型と同時に奏されてショスタコーヴィチの遊び心がみられます。
 第3楽章は、快速なフィナーレ。「ウィリアム・テル」序曲の行進曲の主題を思いださせるようなリズムの、まさに身軽な感じのテーマから始まります。中間部では3拍子になってちょっと野蛮味のある展開になります。再現部への接続部でのソロヴァイオリンが右往左往するようなところはユーモアでしょう。やがて「あれ?」という感じでさり気なくテーマが復帰します。さらに音楽は楽しさを増していき、コーダの終盤で金管楽器が謳うテーマによる享楽的なクライマックスを迎え、さらにリズムにもコミカルさが増して賑やかに笑うように曲を閉じます。

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音符第9番 変ホ長調音符

ソビエト連邦の第二次大戦での勝利を記念して交響曲をつくるということで、共産党がベートーヴェンの第9のように壮大な曲を大いに期待をしていたにも関わらず、軽快なディベルティメントにも近いような曲を発表したので、党幹部はズッコケて激怒したという、いわくつきの曲。
 しかしそんな事情はともかくとして、全体がコンパクトにまとまっており、その凝縮された技巧とオーケストラの使いこなしの妙、そしてなんといっても聴いた後の清々しい感じは間違いなく現代の名曲です。そういえば、プロコフィエフの古典交響曲にも似ているところがあるかもしれません。

第1楽章は、弱音でさらっと弦楽器によって第1テーマが提示されます。それがひと通り展開すると、トロンボーンの「ソド」のシグナルと共に楽隊的な雰囲気となり、ピッコロが空を駆けまわるひばりのようにキャピキャピした第2テーマを提示します。展開部からの再現部への絶妙な橋渡しは、ソナタ形式としては初の快挙かもしれません。終りもスパっと決まって気持ちいい。
 第2楽章は、静寂な独り言のような楽章。クラリネットと弦のピチカートによる単純無比な響き。そこに他楽器が入ってきても寂しさを癒しきれない感じ。中間部の半音で行ったり来たりするフレーズは沈滞した哀しみか怒りか・・・。最後まで謎が消えないままに曲を閉じます。
 第3楽章は、スケルツォ。音階を上下行するせわしないテーマを元にして何か追い立てられるような主部。それに対して、中間部のトランペットのようなちょっと盛り上がり過ぎのようなフレーズが何かを皮肉っているようで微笑ましい。
 第4楽章と第5楽章は連続して演奏されます。金管による重苦しい激情的な雰囲気の中でファゴットが苦しげに歌う第4楽章。それが次第に収まって低音に潜ってくると、打って変わって軽妙なテーマとともに第5楽章に入ります。このユーモアたるや。さらにそのテーマとゆらゆら動くような第2テーマと絡まりながら軍楽隊的なクライマックスを成し、最後は弦楽器と管楽器との掛け合い漫才のようになって慌ただしく終止します。

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音符第12番 ニ短調 「1917年」音符

1917年のレーニンによるロシア革命を描いた曲。そう言ってしまえば、それ以上でもそれ以下でもない交響曲です。しかし、音楽さえも政治的に利用された冷戦時代の”異常な”状況をかいま見るということも、ショスタコーヴィチの交響曲を味わう上での調味料にはなるでしょう。それは人類の愚かな一面の歴史的な記憶として。
 そういう、彼の生きた時代の写し絵としてこの曲を4位にランキングしました。

全楽章は連続して演奏されます。
 第1楽章「革命のペトログラード」。低音弦による断固とした全曲のメインモチーフによる荘重な序奏で始まります。それが煽情的に盛り上がると主部に入ります。ファゴットが低音部で先のメインモチーフに基づいた付点リズムの第1テーマ、そして革命歌『憎しみのるつぼ』によるとされるリズミカルなモチーフも加わって盛り上がっていきます。やがて低音部からロシア民謡風でありながら不安を抱えたような第2テーマが湧き出してきます。やがて革命前夜の雰囲気に高調していきます。最後はコラール風にメインモチーフが高らかに現れてから急に強度を落として次の楽章に続きます。
 第2楽章「ラズリーフ」。レーニンが革命計画を練ったとされる地名。思索的な楽章。(人民そしてレーニンの溜まりに溜まった怒りの情念のような?)低音弦の揺れ動き絡みつくような動きにのって、ホルンがちょっと不穏な感じのテーマを奏します。他にコラール的なテーマも出てきて一種宗教的な雰囲気も醸し出します。最後に弦のモノローグだけが残ってそれがピチカートとなっていくと次楽章へ。
 第3楽章「アヴローラ」。これは巡洋艦の名で、これによる攻撃で革命の火蓋が切られたといいます。この楽章からは表題音楽的要素が強くなります。ティンパニに導かれて、メロディーよりもリズム優先な特異な変拍子リズムのテーマを元に開戦のさまが描かれます。それが湧き上がるように盛り上がると次の楽章に移ります。
 第4楽章「人類の夜明け」。前楽章の流れを受けて金管楽器の湧き上がるようなファンファーレが響き、それに続いて歓喜の第1主題が壮大に高らかに奏されます。これがおさまった後にヴァイオリンで弱奏で出る第2主題も中心となりますが、基本的には前楽章の材料も絡み合いながら進行し、最後は先のファンファーレと第1主題によるクライマックスがいつ終わるともなく続き、革命の勝利の歓喜の内に力強く終ります(このあと1989年にソ連が崩壊することなど誰も思いも寄らなかったでしょう。歴史の悲喜劇というものですね)。

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ショスタコーヴィチ:交響曲第12番 ステパン・ラージンの処刑

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音符第1番 ヘ短調音符

音楽院の卒業制作として19歳の時に作曲した本曲。発表されるや、ワルターやトスカニーニなどの当時の著名な指揮者に認められ、ショスタコーヴィチの名を世界的に轟かせた曲。ここにはその後の彼の交響曲の萌芽が潜んでおり、その溌剌さと発想の豊かさは聴く者を惹きつけるものがあります。その”輝かしい青春の曲”に敬意を表して5位にランク入りです。

新鮮な楽器用法、動機による楽章間の統一性、繊細で抒情的な緩徐楽章、そして明確なリズムによる前進感。それらを無心に楽しめる佳曲です。

第1楽章は、トランペットとファゴットによる対話で始まる協奏曲的な味わいのある序奏で始まります。主部は、行進曲的な第1テーマと天空を舞い飛ぶような第2テーマの対比が面白い。展開部の金管楽器が活躍するダイナミックな場面はまさにショスタコーヴィチです。
 第2楽章は、快速なスケルツォ。ピアノが活躍します。中間部のやわらかいテーマが、終盤スケルツォのテーマと同時に演奏されるクライマックスは思わず感心させられます。
 第3楽章は、この交響曲の白眉。オーボエの悲歌のようなテーマで始まります。途中まるで運命の警告のように金管楽器に現れる3連符をもとにしたモチーフが緊張感を与えます。中間部にまたオーボエによって最初に奏されるフレーズもシグナル的な意味合いを持っているようです。切れ目なく次の楽章に続きます。
 第4楽章は、重々しくもメランコリックな序奏をもつ、一陣の風が通り過ぎていくようなフットワークの良いテーマを主にした快速のファンファーレ。途中ティンパニだけで前楽章の警告モチーフが反転して現れる箇所があり何か暗示的です。最後はまるで生き急ぐ者のように急き立てられるような感じで曲を閉じます。

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他に10曲あるのは心苦しいところですが、そのとっかかりとしてまずはこの5曲から、ということでお勧めいたします。ニックネームのある中では第7番「レニングラード」も人気は高いのですが、これはショスタコ好きになった方用の応用編ということにしておきます。